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2006年12月

2006年12月22日 (金)

企業経営的色合いが強い「黒字化前倒し」

 12月20日、2007年度予算大蔵省原案が発表された。一般歳出は82兆9100億円と、二年ぶりに予算規模が拡大する。
 税収は、53兆4670億円となんと、7兆5890億円(16.5%)の増。しかし、様々な「緊縮」ぶりは維持される格好になっている。
 「緊縮」の第一は、新規国債の発行額を4.5兆円削っていること(過去最大)。また交付税特別会計の債務について、新規借り入れを停止(14年ぶり)し、国負担の借り入れ金(約19兆円)を一般会計に継承した上で、1.7兆円の償還を開始する。
 
 第二は、国民の生活関連の予算には、容赦ない切り込みの手を緩めない予算編成になっていること。社会保障では、生活保護の母子加算の三年間で廃止など、自然増7000億円を5600億円にとどめた。すでに税制でも、所得税・住民税の定率減税の全廃、高齢者の住民税非課税限度額廃止など、きびしい。大企業減税がいくつもメニューに並ぶだけに、なぜ国民負担だけ増えるのか、という批判は今後、広がるだろう。
 
 07年大蔵原案のこうした構図が出てきたのは、「基礎的財政収支の黒字化、前倒し」という号令が、はっきり影響していると思われる。
 今回の予算原案に対し、経済同友会・北城代表幹事は、「(黒字化の)目標年度(2011年)の前倒しと増税なき達成を国民に対するメッセージとして発信してほしい」コメントしている。
 予算編成を議論した、11月30日の経済財政諮問会議でも、「平成19 年度予算に向けて」という民間議員ペーパーを出して、「税の自然増収は地方へのばらまき等、安易な歳出増には振り向けず、将来の国民負担の軽減に充てるということ」が原則の一つだと協調指定説明している(八代議員)。
 
 しかし税収が落ち込んだときは、それを理由に削減し、税収が一定、戻っても、以前の水準には戻ることを許さない。90年代のバブル経済を大量の公債発行で手当てしたツケをこういう形で、「前倒しして」返そうということだろう。
 
 これは、バランスシートを改善させるために、返せる時に返す、という企業経営の論理が色濃く感じられる。しかし、国の政治は、企業経営とは違い、国民のくらしをめちゃくちゃにする、借金減らしは理が立たない。

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2006年12月12日 (火)

カパッの会社「ストロベリーコーポレーション」

「R25」のコラムに、興味を惹く企業が紹介されていた。

折りたたみ式ケータイのヒンジを開発している、「ストロベリーコーポレーション」。1996年7月 資本金7億3,207万円、本社は東京・豊島区。

「高性能はヒンジを作らせたら日本一どころか世界シェア4~5割で世界一」だそう。

あのケータイのカパッは、「あの感覚を出すには100分の1ミリ、さらには1ミクロン単位での加工技術が必要です。実際、100分の1ミリ違っただけで、その感覚に気付きます」と同社は説明している。
ホームページを見ると、こんな企業紹介が。

http://www.strawberrycorporation.com/

ストロベリーコーポレーションのコアテクノロジーである「摺動技術」は、親会社「アドバネクス」(当時、加藤スプリング製作所)が長年にわたり培ってきたもの。この高度に蓄積された技術とノウハウを当社が受け継ぎ、ベンチャービジネスを展開し始めました。一方、当社の設立の経緯、組織のあり方は、通常の企業では考えられない異例の形をしています。当社の設立は、社長以下、全ての従業員がアドバネクスの社内公募で結成され、会社立ち上げ以外の一切の費用的支援を親会社は行わず、にもかかわらず10年以内の株式上場が課せられる、という形で行われました。この極めて異例の設立経緯が、事業成果を最優先に追求できる最適の企業文化と組織の形(極限までフラット化した組織)を生み出しました。加えて、事業成果を最優先に追求するための経営思想として、部品メーカーとしては非常に例外的とも言える「マーケットイン」の発想を導入。これを基礎とした経営により、攻めの市場開拓を推進することが可能となりました。当社は、いわば「蓄積」と「異例」とを融合させることで、同業他社に類例のない独自のベンチャー企業として、強い成長力を有しているのです。

 技術ノウハウ、+ 市場開拓、マーケティング力。その後者が、現在の市場では決定的なのではないか。

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2006年12月 9日 (土)

「落ちる中間層」に広がる将来展望のなさ

 『週刊東洋経済』12月9日号の特集は、「落ちる中間層」。
 その中の記事、「公務員200万人がワーキングプアになる日」では、非常勤国家公務員の「いつでもクビ切り自由 低賃金で企業に転籍」の実態を明るみに出していて読ませる。(国家公務員一般労組の組織拡大担当の浅尾大輔さんに取材している)
 
 こうした実態は、最近配信されたオンラインニュース、日経メディカルの若手医師勤務実態調査でも似通った問題状態が明らかにされていた。
 【日経メディカル Cadetto 連動企画Vol.4】2006. 11. 27「『12~15時間』勤務が最多、大学の多忙さ顕著」http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/report/200611/501925.html
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2006年12月 7日 (木)

経財諮での派遣契約「期間制限」撤廃のロジック

 12/1の記事、経済財政諮問会議での「派遣労働者の期限制限」検討について、ホームページで、議事録要旨と、民間議員提案の資料「複線型でフェアな働き方に~~ 労働ビッグバンと再チャレンジ支援」が掲載された。
 http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/shimon-s.pdf
 http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/item4.pdf
 
 
 とくに「派遣労働者の期限制限」について、八代尚宏・議員はこう発言している。

 (資料「複線型でフェアな働き方に 労働ビッグバンと再チャレンジ」について説明の部分) 「『雇用形態による格差をどう是正するか』。現行の労働者派遣法は、正社員を派遣社員との競争から守るという役割が含まれている。派遣社員の対象職種や働く期間の制限を見直し、本来の『派遣労働者の保護』という目的に特化させることが、雇用形態による格差を是正するための大きな鍵になるのではないかという意見もある。正社員がよい働き方で、非正社員がよくない働き方という二分法ではなく、多様な働き方に共通した雇用ルールはどうあるべきかということも議論する必要がある」

 「派遣の期間制限は派遣労働者の固定化防止のために必要ということだが、本当にそうなのか。新しく雇用される人にとってみると、例えば3年間の派遣が4年である方が、雇用はより安定するが、3年に制限されるということは、その企業でもっと働きたいと思う人が、法律によって首を切られることになる。派遣期間を制限することで、本当にその人が正社員になれる保証はどこにあるのか。規制というのは、それが持つプラス・マイナスをきちんと判断した上で必要になるのではないか。 長期雇用はよい慣行というのは全くそのとおり。ただ、国が規制しなければ、企業はあえて長期的視野に立った人的資本の蓄積をしないということはない。そういう規制は企業のためからは必要ないはずであり、あくまでも労使の自治によって終身雇用、年功制を決めればいいのではないか。」

 つまり規制は、正社員と非正規社員の「差別」をつけるものであり、これは正社員、派遣労働者、両者の利益にならないという主張ととらえられる。
 後者の発言では、派遣労働者が「3年の期限制限」があるのは、正社員化を保証するものでなく、首切りにつながるから、制限撤廃が派遣労働者の利益を守ることだと主張している。そして、「長期雇用」は企業の「人的資本の蓄積」とという、企業側の雇用判断に委ねている。
 雇用環境の現実から議論は出発すべきだろう。現在の労働派遣法の「原則3年(製造業1年)」という期限をなくせば、企業の都合で雇用も、打ち切りも自由に契約できるようになるだけだ。
 
 一番の問題だと思うのは、この方向は正規・非正規雇用の区別を取り払い、結局、労働条件は非正規の方に均されるだろうということだ。この問題を、正規・非正規の労働者の利益を意図的に対立にもっていくシナリオに乗ることは戒めなければならない。

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2006年12月 3日 (日)

政府税調07年度税制改革への答申

 12月1日、首相の諮問機関である政府税制調査会が、来年度の税制改革に向けた答申を行った。目次は次のようになっている。

Ⅰ 税制調査会の使命-総合的な税制改革に向けての視点と審議の進め方
Ⅱ 総合的な税制改革の流れの中での平成19年度税制改正
 1.経済活性化に向けた速やかな対応
 2.新しい制度改革に対する税制上の対応
 3.国民生活に関連する税制

 法人税の実効税率引き下げについて、 「今後の検討課題の一つとして、法人実効税率引下げの問題が提起された。企業部門の活性化はその付加価値の分配を通じて家計部門に波及し、プラスの効果をもたらす」と述べ、本間会長は「引き下げの方向で検討すると合意した」(記者会見)と述べている。

 消費税については、記述を避けているが、これは来年に選挙を控え、「来年秋以降に議論する」という安部政権の基本方針に沿ったものだ。
 

 もう一つの焦点、証券課税については、07年度の期限で「金融所得課税の一本化の方向に沿って、期限到来とともに廃止」すのものの、「株式市場の無用の変動要因とならないよう工夫する」としている。

 また審議中に出された「その他の主な意見」が掲載されているが、その中の一つ、次の発言は注目すべき論点だと思う。
 「格差の行き過ぎに歯止めをかけるため、税制の果たす役割は大きい。また、景気回復期に確実に税収の自然増につながる構造も確立しておく必要。短期の金融取引については本則税率を引き上げ、所得税の最高税率や相続税制を強化すべき。

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2006年12月 1日 (金)

「ルール破り」だと都合悪いから「ルール」を変更?

2006年12月01日(金曜日)「朝日新聞」朝刊、トップ記事
「派遣労働者の直接雇用 企業の義務、撤廃検討 経財会議」より

 派遣労働をめぐって、「偽装請負」など、脱法行為が社会問題化し、労組結成などで一部、正社員化の変化が生れている。その逆に、ルールそのものを変えてしまおうとする議論も浮上してきた。
 11月30日の経済財政諮問会議(第27回)で、八代尚宏・国際基督教大教授や御手洗冨士夫・日本経団連会長ら民間議員4人が提出した「労働ビッグバンと再チャレンジ支援」と題する文書がそれ。この文書はホームページには掲載されていない。
 「朝日」記事によると「労働者派遣法の見直しを始め、外国人労働者の就労範囲の拡大、最低賃金制度のあり方や育児サービスの充実などを検討課題として提案した」もの。
 また 大田弘子・担当大臣の記者会見では、
 「労働ビッグバンはまさに今日がスタートで、民間議員ペーパーのポイントは、専門調査会をつくって、これから議論をしていきたいということです」「派遣の期間制限というのは本当に必要なのか。規制のマイナス面もあるのではないか」という発言があったとのこと。
 御手洗氏は、すでに諮問会議の中で、請負では製造業者が労働者に指揮・命令できないという現行法の規定について、「請負法制に無理がありすぎる」「これをぜひもう一度見直してほしい」と発言していた(10月13日、議事録)。その具体化が早くも始まった。
 
 以下、「朝日」記事より。
 「政府の経済財政諮問会議が30日開かれ、労働市場改革「労働ビッグバン」として、一定期間後に正社員化することを前提としている現在の派遣労働者のあり方を見直す方向で検討に入った。この日は、派遣契約の期間制限の廃止や延長を民間議員が提案。期間が無期限になれば、派遣期間を超える労働者に対し、企業が直接雇用を申し込む義務も撤廃されることになる。諮問会議では専門調査会を設置して議論を深め、労働者派遣法の抜本的な改正などに取り組むことにした。ただ、今回の見直しは、派遣の固定化をもたらしかねず、大きな論議を呼びそうだ」。

 「注目されるのが、派遣労働者に関する規制だ。現在は派遣期間に最長3年といった制限があり、長期間働いた労働者への直接雇用の申し込み義務も企業側に課せられている。民間議員らはこの規制があるため、企業が正社員化を避けようと、派遣労働者に対して短期間で契約を打ち切るなど、雇用の不安定化をもたらしていると指摘。規制緩和で派遣期間の制限をなくすことで、「派遣労働者の真の保護につながる」と主張している」。

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