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2006年12月 7日 (木)

経財諮での派遣契約「期間制限」撤廃のロジック

 12/1の記事、経済財政諮問会議での「派遣労働者の期限制限」検討について、ホームページで、議事録要旨と、民間議員提案の資料「複線型でフェアな働き方に~~ 労働ビッグバンと再チャレンジ支援」が掲載された。
 http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/shimon-s.pdf
 http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2006/1130/item4.pdf
 
 
 とくに「派遣労働者の期限制限」について、八代尚宏・議員はこう発言している。

 (資料「複線型でフェアな働き方に 労働ビッグバンと再チャレンジ」について説明の部分) 「『雇用形態による格差をどう是正するか』。現行の労働者派遣法は、正社員を派遣社員との競争から守るという役割が含まれている。派遣社員の対象職種や働く期間の制限を見直し、本来の『派遣労働者の保護』という目的に特化させることが、雇用形態による格差を是正するための大きな鍵になるのではないかという意見もある。正社員がよい働き方で、非正社員がよくない働き方という二分法ではなく、多様な働き方に共通した雇用ルールはどうあるべきかということも議論する必要がある」

 「派遣の期間制限は派遣労働者の固定化防止のために必要ということだが、本当にそうなのか。新しく雇用される人にとってみると、例えば3年間の派遣が4年である方が、雇用はより安定するが、3年に制限されるということは、その企業でもっと働きたいと思う人が、法律によって首を切られることになる。派遣期間を制限することで、本当にその人が正社員になれる保証はどこにあるのか。規制というのは、それが持つプラス・マイナスをきちんと判断した上で必要になるのではないか。 長期雇用はよい慣行というのは全くそのとおり。ただ、国が規制しなければ、企業はあえて長期的視野に立った人的資本の蓄積をしないということはない。そういう規制は企業のためからは必要ないはずであり、あくまでも労使の自治によって終身雇用、年功制を決めればいいのではないか。」

 つまり規制は、正社員と非正規社員の「差別」をつけるものであり、これは正社員、派遣労働者、両者の利益にならないという主張ととらえられる。
 後者の発言では、派遣労働者が「3年の期限制限」があるのは、正社員化を保証するものでなく、首切りにつながるから、制限撤廃が派遣労働者の利益を守ることだと主張している。そして、「長期雇用」は企業の「人的資本の蓄積」とという、企業側の雇用判断に委ねている。
 雇用環境の現実から議論は出発すべきだろう。現在の労働派遣法の「原則3年(製造業1年)」という期限をなくせば、企業の都合で雇用も、打ち切りも自由に契約できるようになるだけだ。
 
 一番の問題だと思うのは、この方向は正規・非正規雇用の区別を取り払い、結局、労働条件は非正規の方に均されるだろうということだ。この問題を、正規・非正規の労働者の利益を意図的に対立にもっていくシナリオに乗ることは戒めなければならない。

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