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2007年1月25日 (木)

黑田充著 『2011年、テレビが消える』

 Photo 黑田充著 『二〇一一年、テレビが消える 光ファイバ、ケーブルテレビ化の真相』 http://www.jj-souko.com/elocalgov/contents/c184.html

 2011年、「地デジ」移行にむけ、大層なコマーシャルとは裏腹に、視聴者側はほとんど、さめてます。費用がべらぼうにかかり、消費不況が足かせになっているのは間違いない。ただ、どんな「実害」がでるのか、事業移行のデータと状況はあまり、目につくものがないようです。

 本書は、松原市役所職員出身の、大阪『経済』大学非常勤講師の筆者が、長年の調査をふまえた貴重な実態分析、放送通信政策への提案をした本です。

 現在のテレビのアナログ放送は、二〇一一年七月に終了、地上デジタル放送(地デジ)に替わる――電波法で決められています。しかし問題は山積です。新しい受像機、アンテナ購入の負担。地デジの電波が配信されない地域が、どこまで残るか。住民共同で、光ファイバ、ケーブルテレビを整備して対応する自治体も出ていますが、その多額な予算、市民の負担はどうするか…。国民の等しく情報を得る権利が奪われ、”テレビが消える”地域が広がる危険があります。
 
 筆者は、現在の放送事業改編にかかわるポイントとして、「ブロードバンド化とデジタル放送は、別問題」だという視点を強調します。
 家庭のデジタル放送対応が遅れているため、インターネットのブロードバンドのためのケーブル敷設をすすめ、合わせ技で推進しようと、狙っているわけです。これに対し、根本問題として、次のように指摘しています。

 「とにかくアンテナさえ建てれば見ることのできたテレビが、技術的には進歩しているはずのデジタル放送になった途端にアンテナだけでは見ることができなくなり、ケーブルテレビがなければダメだというのでは、これは進歩ではなく、むしろ退歩なのではないでしょうか。また、ケーブルテレビが解決策として有効だとしても、その整備は市町村の責任ではなく、電波で番組を届けることができなくなった放送事業者と、それを管理する国の責任ではないでしょうか」(17ページ)

 また、民主主義の土台としての情報公開、「権利としてのブロードバンドとテレビ視聴」を明確にし、あるべき自治体の情報政策を考えています。

 こうした議論の筋みちを示してもらうと、「ブロードバンド」「デジタル放送」を掲げる日本の情報・通信整備が、きわめて泥縄的なものに見えてきます。技術の発展は、確かにすばらしいことです。であるなら、なおさら、過去にきずいたインフラも活用しつつ、負担の少ない形での計画を、あらためて検討すべきでしょう。

             (自治体研究社・一八九〇円=税込、191ページ)

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