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2007年2月26日 (月)

NHK番組改変事件 高裁判決シンポジウム

 25日、四谷駅を出てすぐのプラザ・エフで行われた、「NHK番組改変事件 高裁判決勝訴・判決評価シンポジウム」に聞きに行きました。
 主催は、裁判の原告である「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NET・バウ・ネット・ジャパン) 
 資料代1000円を払って入ると、会場には120人の参加者。
 
 2001年1月に放映されたNHK教育テレビ、ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」の番組内容が、放映直前に自民党議員の介入によって、改変された事件をめぐって、裁判がおこなれてきました。(事件の経過については、メキキネット http://www.jca.apc.org/mekiki/nhk/index.html )

 シンポでは、1月29日、NHK番組改変を巡る控訴審判決の内容と、その判決をめぐる報道が、「2次被害」じゃないけれど、また非常に歪曲さていたことが、中心に取り上げれられました。
 

 今回の高裁判決はNHKの番組制作・放送について「憲法で保障された編集の権限を濫用し、又は逸脱したもの」「放送番組編集の自由の範囲内のものであると主張することは到底できない」と認定しました。
 会場では、判決前文のコピーも販売(A4 35枚、500円)され、入手してきました。裁判所の裁定は、原告の主張を重要な諸点で認めたものです。結論として、NHKの責任は最も重いとし、番組制作に関わったNHKエンタープライズ21と番組制作会社ドキュメンタリー・ジャパン(DJ)を含め三者に、200万円の賠償支払いを命じました。

 プログラムは次のとおり。
○原告挨拶  東海林路得子
○第一部 高裁判決報道を検証する
 ・メディアは判決をどう報道したか?  板垣竜太(メキキネット)
 ・「政治圧力は認められなかった」報道について  飯田正剛弁護士
○第二部 シンポジウム 「高裁判決を読み解く」 
 ・「編集の自由」に制約を与えた「特段の事情」  大沼和子弁護士
 ・「慰安婦」問題への政治圧力はどう裁かれたか  西野瑠美子(原告)
 ・「言論弾圧」の視点から  斎藤貴男(ジャーナリスト)
 ・「放送の自律」の視点から  小玉美意子(武蔵大学社会学部教授)
 ・「編集の自由」の視点から  桂敬一(立正大学文学部講師)   
 ・当事者から見た判決  坂上香(元ドキュメンタリー・ジャパンディレクター)

 多数の報告で、興味深い論点も多かったのですが、今回の判決のポイントで大事な点は、次の2点だと思います。
 
●NHK側の「編集の自由」が、「取材結果がどのように編集され、どのような番組に使用されるか」という取材対象者の自己決定、判断に制約されるとしたこと。
 

 「取材対象者が、当初、取材に応ずるか否か、どの程度、範囲で応ずるかは、その自由な意思に委ねられており、取材結果がどのように編集され、あるいはどのような番組に使用されるかは、取材に応ずるか否かやその程度、範囲の意思決定の要因となり得る」

 
●番組ついての政治家の「政治介入」についても、事件の経緯から、NHK側が政治家の話を聞き、その「意図を忖度」したことを確認したこと。

 「説明のために松尾〔NHKの番組制作局長〕と野島〔NHKの国会担当である総合企画室担当局長〕が国会議員等との接触を図り、その際、相手側から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされたというものであり、この時期〔NHK予算編成期〕や発言内容に照らすと、松尾と野島が相手側の発言を必要以上に重く受け止め、その意図を忖度〔気持ちを推し量ること〕してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて支社に臨み、その結果、そのような形へすべく本件番組について直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められる」

 シンポでも、もっとも大きく取り上げられた問題ですが、NHKはじめマスコミの判決報道で、この後者の点で、「政治介入が認められない」という判決だったと、捻じ曲げて報道されたことがあります。
 当夜、NHKニュースは、「国会議員が具体的に番組に介入したとは認められないと述べた」と報じました。そして安部首相、中川政務調査会長が「政治が介入されていないことが判決で明確に下された」というインタビューもつけられました。
 しかし、これは判決内容を、まるっきり反対に報じたものだということです。判決では、証人の証言からは、「政治家が一般論として述べた以上に本件の番組に関して具体的な話や示唆をしたこと」が認められなかったということ。少なくとも「一般論」としては、政治的圧力があったことなしには、この判決が出てきようがないものです。
 
 「北朝鮮問題」「やらせ報道問題」など、NHKはじめ、テレビ局、新聞、マスコミ全体の状況をみると、政治とメディアの関係が、どんどん危うい方向に流れているのは事実でしょう。
 上告されたNHK番組改変事件訴訟の今後も、注目する必要があります。

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