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2007年4月 5日 (木)

最賃制法案、期待ができない3つの理由

 Nikkei BP net が「労働法案国会へどう変わる仕事とお金」というシリーズで第2回 「ワーキング・プア増加阻止にはほど遠い3つの理由 ~最低賃金法改正のポイント」を掲載しています。
 http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/topics/workissue/070403_2nd/

Ogoshi_yonosuke  筆者は、小越 洋之助・國學院大學経済学部教授

5ページにわたる、なかなかボリュームのある内容ですが、論旨明快で、結構、ポイントをつかむのにやさしく書かれています。

 2007年3月13日、通常国会に提出された最低賃金法改正案の問題点が中心です。

 法案では、最賃を基にして月給を計算すると生活保護の支給額より下回る地域が存在する。この「逆転現象」の解消などを目的とする内容が改正案に盛り込まれました。
 「ワーキング・プア」が人ごとにならない日本社会状況のなかで、連合や全労連などの労働組合、民主党、共産党、社民党などの野党が「時給1000円以上」の最低賃金で足並みをそろえて、最賃制引き上げの機運は広がりつつあります。

 そんな中、小越氏が、今回の改正案について「抜本的改革にはほど遠い」と指摘する理由は、次の3点です。

  • 第一、地域ごとにバラバラな最賃を依然として維持しているが、これは世界的にもまれ
  • 第二、国際比較した日本の最賃額があまりに低すぎる現状を解決できない。それは厚生労働省が会社の「支払能力」を最賃の有力な決定基準として持ち出すからだ
  • 第三は、最賃を決める仕組みの抜本改革が日本にないこと。

 それぞれの論点については、本HPをどうぞ。
 一つだけ、中小・零細をはじめ経営から声の強い、企業の「支払い」能力の問題について、小越氏はこう指摘しています。

 
 「大きな理由として、最賃の国際条約(ILO条約)には(企業の)「支払能力」の定めなどないが、日本ではこれを有力な最賃の決定基準に入れていることにある。これは日本社会の後進性そのものだ。下請中小企業への単価引き下げ、規制緩和での中小企業の過当競争がある現状で、支払能力だけをタテにとると、零細企業が支払える最賃水準という話になりがちである。」

 これは、もともと最賃制の議論の筋として、「支払能力」を基準にすべきではないと言うことでしょう。どんな良心的な経営者でも、経営の法則から言って、賃金をほかより上げましょうとは、いえません。社会的に、まともな雇用・賃金を整備することは、回りまわって、適正な中小企業の工賃・賃金、業者の収入にも好転するという社会政策的な問題だと思います。

 こうした現在の最賃制改正法案の問題を整理した上で氏の考える「抜本的改革」のための方策として2点を提起します。

  • 最低賃金は生計費に基づき全国一律にすべき
  • 賃金と労働時間の関係を切断する「ホワイトカラー・エグゼンプション」の問題性

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