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2007年5月23日 (水)

規制改革会議 労働者保護全廃を提言

 5/21 政府の規制改革会議の再チャレンジワーキンググループが、労働法制の報告書を発表しました。

 「格差と活力をもたらす労働市場へ~労働法制の抜本的見直しを~」(←クリックするとPDFファイルが開きます)と題しています。

構成は、
 1 解雇権乱用法理の見直し
 2 労働者派遣法の見直し
 3 労働政策立案の見直し 
 4 個別課題について 
となっていますが、内容的には、現在の労働法制、労働契約に関わるルールを全廃することを求めているような中身です。
 結局、財界や大企業トップが以前から提唱していたことを、政府の機関がまるごと、そのまま言いたい放題、主張しているにすぎないんじゃないでしょうか。

 「一部に残存する神話のように、労働者の権利を強めれば、その労働者の保護が図られるという考え方は誤っている」と前置きした後、次のように列挙しています。

●最低賃金制
 「不用意に最低賃金を引き上げることは、その賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらし、そのような人々の生活をかえって困窮させることにつながる」
●女性の権利
 「過度に女性労働者の権利を強化すると、かえって最初から雇用を手控える結果となるなどの副作用を生じる可能性もある
●解雇規制
 「正規社員の解雇を厳しく規制することは、非正規雇用へのシフトを企業に誘発し、労働者の地位を全体としてより脆弱なものとする結果を導く」
●派遣労働の雇用期間規制
 「一定期間派遣労働を継続したら雇用の申し込みを使用者に義務付けることは、正規雇用を増やすどころか、派遣労働者の期限前の派遣取り止めを誘発し、派遣労働者の地位を危うくする」
●労働時間
 「長時間労働に問題があるからといって、画一的な労働時間上限規制を導入することは、脱法行為を誘発するのみならず、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる」

 とくに印象深いのは、「真の労働者の保護」という点に言及している箇所。会議の頭の中をよく表しているといえます。
 労働者の保護と言うのは、つまるところ、「労働契約に関する情報の非対称性を解消すること」にあり、そのためには、「画一的な数量規制、強行規定による自由な意思の合致による契約への介入など」現在の規制を撤廃することが、「真の労働者保護」なのだと言います。
 その上で、これを理解できないような、行政庁、労働法・労働経済研究者に対し、「初歩の公共政策に関する原理すら理解しない」と批判しています。

 《真の労働者の保護は、「権利の強化」によるものではなく、むしろ、望まない契約を押し付けられることがなく、知ることのできない隠された事情のない契約を、自らの自由な意思で選び取れるようにする環境を整備すること、すなわち、労働契約に関する情報の非対称を解消することこそ、本質的な課題というべきである。》

 《市場の失敗としての情報の非対称に関する必要にして十分な介入の限度を超えて労働市場に対して法や判例が介入することには根拠がなく、画一的な数量規制、強行規定による自由な意思の合致による契約への介入など真に労働者の保護とならない規制を撤廃することこそ、労働市場の流動化、脱格差社会、生産性向上などのすべてに通じる根源的な政策課題なのである。》

 《行政庁、労働法・労働経済研究者などには、このような意味でのごく初歩の公共政策に関する原理すら理解しない議論を開陳する向きも多い。当会議としては、理論的根拠のあいまいな議論で労働政策が決せられることに対しては、重大な危惧を表明せざるを得ないと考えている。》

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〔毎日新聞〕
規制改革会議:提言内容判明 最低賃金上げに事実上反対

 内閣府の規制改革会議(草刈隆郎議長)の再チャレンジワーキンググループがまとめた労働分野に関する意見書の全容が明らかになった。解雇規制の緩和や労働者保護の法的見直しなどを挙げている。安倍政権がワーキングプアなど格差解消に向け取り組む最低賃金の引き上げについては「賃金に見合う生産性を発揮できない労働者の失業をもたらす」と事実上反対している。同会議は週明けに公表し、3年間かけて検討するが、労働者保護の撤廃を中心とする内容に労働側の反発が予想される。

 報告書は、労働分野の問題について「労働者保護の色彩が強い労働法制は、企業の正規雇用を敬遠させる。労働者の権利を強めれば、労働者保護が図られるという考え方は誤っている」と指摘。最低賃金引き上げや、労働時間の上限規制などを疑問視している。

 女性労働者については「過度に権利を強化すると、雇用を手控えるなど副作用を生じる可能性がある。あらゆる層の労働者のすべてに対して開かれた平等な労働市場の確立こそ真の労働改革だ」と表明している。

 具体的には(1)解雇規制の見直し(2)労働者派遣法の見直し(3)労働政策立案のあり方の検討--を掲げている。(1)は人員削減の必要性など解雇の要件が厳しく、使用者の解雇権や雇い止めが著しく制限されているとして、規制緩和の検討を打ち出した。また、労働契約法案に盛り込むことが見送られた解雇の金銭解決についても試行的導入を検討するとしている。

 (2)では禁止されている港湾運送や建設、警備などへの派遣解禁、派遣期間(最長3年)の制限撤廃を提言。(3)では労使が調整するやり方からフェアな政策決定機関にゆだねるべきだとしている。【東海林智】

毎日新聞 2007年5月20日 3時00分

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/feature/news/20070520k0000m040113000c.html

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