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2007年6月24日 (日)

ワーキングプア書評によせて(赤旗17日付)

 6月17日付「しんぶん赤旗」の「読書」欄は、どうも「はたらく貧困層―ワーキングプア」特集みたいなラインナップでした。

 取り上げられた本と、評者は次のとおり。

  • 雨宮処凛『生きさせろ! 難民化する若者たち』 
    評者・河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)
  • しんぶん赤旗日曜版取材チーム『ワーキングプアと偽装請負』
  • 風間直樹『雇用融解』
  • 朝日新聞特別報道チーム『偽装請負』(→以上、3冊は、「本と話題」コーナーで、評者・岡清彦)

これに、もう一冊、毛色の似た書評がありました。

  • 吉田修一『悪人』
    評者・浅尾大輔(作家・労働組合オルグ)

 雨宮さんの『生きさせろ!』は、ちょうど読んだばかりです。若い世代への不安定労働者(プレカリアート)の浸透が、まともに生きることをできなくさせている現実。著者は、関係書、新聞、雑誌を読み漁り、若者の労働相談などに取り組む当事者、関係者に、くわしいインタビューを行い、自らの労働経験もふまえて、まとめている。(引用文献には、『経済』2006年7月号「『格差』の根源 大企業の業務請負・派遣労働」岡清彦もあった)
 すごいのは、この題名の主張のなんとシンプルなこと!  そこまで状態は深化しているし、生死を賭けて、若者が立ち上がらざるをえない、面白い状況が生まれているという著者の視点は鋭い。

 『雇用融解』は入手したけれど、まだ読めていない。すぐ読みたい。

 それぞれコメントで、それぞれ共通する点をあげるとすると、絶望的な労働実態の中で、「連帯と希望」はどこから出発できるか、という点です。

 『生きさせろ』の評で、河添氏は指摘しています。
 「筆者は、若者が多様なかたちで抵抗を始めていることも紹介している。特に、若者の間に個人加盟の労働組合が広がっていることの指摘は意味がある。また、ユーモアを持った運動の展開もおおいに参考になる。そこには新しい連帯があり希望がある」

 また岡清彦さんは、とりあげた3冊が、「大企業の実態を描きながら、広告主などの関係で企業名を伏せている報道があるなかで、リスクを恐れずに報道しつづけたことは特筆すべきです。実名報道がどんなにインパクトがあるか」と記しています。そして「非正規雇用が労働者の3人に1人を占めるようになり、賃金が時給千円前後、契約期間は3ヵ月前後で使い捨てられていることを克明に語っています。ワーキングプアの立場に寄りそう報道姿勢だからこそ、労働者の共感をよぶのでしょう」

 ここから、「連帯」なり「希望」というのは、ただ流れている現実の中にあるのではなくて、それに対して、どう立ち向かっていくか。それをジャーナリズムはどう拾い上げていくか。それを通じた現実批判の総力戦がいま必要だと思いました。
 曖昧な立場は、許されません。

 さらに浅尾さんの吉田修一『悪人』ですが、私はこの本読んでません。
 ちょっと、昨日、紀伊国屋の作家コーナーで立ち読みして、芥川賞受賞作家という超メジャーな人だということを知った次第。現代的な言語感覚のすごい人だという印象です。

 ただ、浅尾さんの書評の一節に目を向けさせられました。
 「協力し合うことすら知らない彼ら(浅尾さんが取り組む労働争議の若い当事者)に伴走しながら、一人も壊れないでほしいと、ひたすら願った。」という箇所に、今の人間関係にあって、「連帯」からほど遠い「心の隙間」が広がっている現実にも、目をそらしてはならないと。

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