« 40周年の「アセアンを知ろう」パネル展 | トップページ | グッドウィル 違法派遣VTR(NHK 17日夜ニュース) »

2007年8月18日 (土)

吉田修一『ランドマーク』

 吉田修一氏の小説『ランドマーク』が、講談社文庫で出たので、短い休暇の合間に、氏の作品を初めて読んでみました。

 2004年7月刊単行本の文庫化です。

 舞台は埼玉県大宮の超高層ビル建設現場。そこで働く現場建設労働者と、設計士が登場人物。

 描かれる世界観としては、あまり好きな雰囲気ではないのですが、作品の構成力とか、描写力には、やはり力を感じます。かといって、目の前に情景がありありと出現するようなリアルさではなく、話が進んでいくと、このお話は寓話なのか? と思えてくるような感触も味あわせてくれます。

 たとえば、ある登場人物(男性)は、興味本位にアメリカから「貞操帯」を通販で買い、使用している。1ヵ月余過ぎたところで、こんな感覚が芽生えてくる。

 「鍵を外して性器を自由にし、腰からステンレス製の帯をとると、最初はもちろん、身震いするほどの開放感を味わえたのだが、いったんいつもの行為が終わってしまうと、たった今、味わったばかりの解放感以上の、妙な不安感がいつも襲ってきた。たとえばずっと鎖で繋がれて飼われていた犬が、急に首輪を外されたときのような、たとえば深夜のコンビニでどこにも店員の姿が見当たらないような、そんな何でもできる状況を、飼い主やビデオカメラによって監視されているような、少し複雑な不安感だった。どうせ庭からでられないのなら、鎖で繋がれているほうがましだ。どうせ何も盗めないのなら、レジには店員がいてほしいのだ。」

 これをたとえば、日本という国家からの「統制」と国民の「自由」、との有り様として、裏読みしてみると、まさにその「感覚」を言い当ててるなあ、と。

 って素人っぽく、書いてしまうと、とてもステレオタイプ的な印象な読後感になってしまうのだけれども。それは、あくまで、私の文章力の問題です。。。。

|

« 40周年の「アセアンを知ろう」パネル展 | トップページ | グッドウィル 違法派遣VTR(NHK 17日夜ニュース) »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/166660/16155253

この記事へのトラックバック一覧です: 吉田修一『ランドマーク』:

» 『ランドマーク』吉田修一 [chaos(カオス)]
『ランドマーク』吉田修一 これはいろいろな歪みの物語だ。 社会の歪み、形状の歪み、精神の歪み・・ 歪みが蓄積するといつかは臨界点に達する。 犬飼と隼人はかろうじて理性を保つっている(ように見える)が、犠牲は違った形で生まれる。 大宮に聳え立つビ...... [続きを読む]

受信: 2007年9月16日 (日) 22時21分

« 40周年の「アセアンを知ろう」パネル展 | トップページ | グッドウィル 違法派遣VTR(NHK 17日夜ニュース) »