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2008年6月22日 (日)

EU,派遣に正規と同等待遇で合意

 10日の出来事ですが、EUの雇用社会問題理事会で、派遣労働者に正規と同等の権利を認めることを盛り込んだ指令が合意されました。
 概要をみますと、「労働時間」と「雇用・休暇」など内容に分けられ、各国政府は「罰則」つきの規制を行うことになります。

 「労働時間」では、「待機時間」の扱いを明確にした上で、適用除外を書面で合意しない限り、上限を週48時間とし、取り決めをした場合でも、週65時間で規制されます。

 また「賃金・産休・休暇」で、正規労働者と同等待遇が決められています。

 欧州委員会の声明文にある、「背景」のところで、既存の労働時間指令に多くの国が違反を続けており、この解決策として今回の指令となったという経過が述べられています。

以下は、EU駐日事務所のホームページから。

http://www.deljpn.ec.europa.eu/home/news_jp_newsobj2898.php

欧州委員会、派遣労働者の就労時間と条件に関する政治合意を高く評価
IP/08/912 ブリュッセル

<日本語仮訳>

 欧州委員会は、本日(6月10日)早朝に、長く懸案となっていた労働時間指令および有期派遣労働者指令に関して、ルクセンブルグで開催されていた雇用・労働問題担当相理事会において、欧州連合(EU)加盟国が合意に達したことを、大いに歓迎する。

 欧州委員会のシュピドラ委員(雇用・社会問題・機会均等担当)は、「この合意は、欧州の労働者にとって大きな前進を意味するとともに、労使間対話の強化につながる。またもや、フレキシキュリティ ーー柔軟性(flexibility)と安全性(security)を結び付けた造語ーーが実現可能であることが証明された。 労働者や派遣労働者にとっての安心感とと就労条件の改善を図りながら、産業界が必要とし、かつ家庭と仕事の両立を願う労働者の希望する柔軟性の維持が可能となる。この成功をもたらしたEU議長国スロヴェニアを称えるとともに、その多大なる尽力に感謝する。次は欧州議会の番だが、この確固たる合意が本会議において大多数の賛成を集めることを祈念している。」と述べた。

労働時間指令に関する主要合意点

  • 待機時間を活性待機時間と不活性待機時間に区分し、前者を労働時間として算入する。
  • 不活性待機時間を休憩時間に算入することはできないものとし、国内法の規定あるいは労使間の合意があれば、労働時間に算入することができる。
  • 労働者個人が適用除外を選択しない限り、標準労働時間の上限を週48時間に据え置く。
  • 適用除外を選択した労働者の新たな保護的上限(cap)を、労使間でそれ以外の取り決めがない場合は、週60時間とする。
  • 不活性待機時間を労働時間に算入する場合においては、当該上限を週65時間とする。
  • 同一雇用者により10週間以上雇用される労働者全員に上記の労働時間上限による保護が適用される。
  • 適用除外については、就労した最初の月には署名を行わない、署名をしないことあるいは適用除外の撤回を理由に処罰を科さない、適用除外を選択した労働者の労働時間を雇用者が記録するなど、一定条件下でのみ実施する。

有期派遣労働者指令に関する主要合意点

  • 就労初日より、賃金・産休・休暇に関して、有期派遣労働者に正規労働者と同等の待遇を適用する。
  • 集団的合意および国全体での労使間協定に基づき、上記要件の適用を免除することを可能とする。
  • 雇用企業における無期雇用機会の情報が有期派遣労働者に伝えられなけらばならない。
  • 共用施設(社員食堂、保育施設、通勤交通サービスなど)の利用において同等の権利を与える。
  • 加盟国政府は、派遣労働者が自らのエンプロイアビリティ(雇用されるにふさわしい能力)を高めることができる、次の派遣先が決まるまでの間、保育および訓練施設をより容易に利用できるようにしなければならない。
  • 加盟国政府は、派遣代理店および企業の違反に対する罰則を確立しなければならない。

背景
 既存の労働時間指令(2003/88/EC)を改正する当該指令案は、2005年より審議の俎上にあった。欧州司法裁判所の解釈によると、多くの加盟国が同指令に違反している(Simap/Jaeger判決)。同判決によると、活性待機時間と不活性待機時間は労働時間として算入しなければならない。また、改正法案では適用除外を選択した労働者の保護が大幅に改善されている。

 EUには800万人の有期派遣労働者がおり、その数は増えている。2002年3月に、欧州委員会が、EU全域に同水準の有期派遣労働環境を整備する提案を採択した後、いくつかの議長国が解決策を見出そうと調整を試みた。最近の英国における労使間の合意を受けて、議長国スロヴェニアが新たな妥協案を提示し、このたびの政治合意に至った。

 共同決定手続きに従い、EU理事会の共通見解は、第二意見を得るために欧州議会に送られることになる。

以下は、「赤旗」の報道(1面)。

2008年6月13日(金)「しんぶん赤旗」
派遣も正規と同待遇 EU閣僚理事会が合意

 【パリ=山田芳進】ルクセンブルクで行われていた欧州連合(EU)雇用社会問題相理事会は十日、派遣労働者に正規労働者と同等の権利を認めることを盛り込んだ派遣労働者指令案に合意しました。

 合意された指令案は、派遣労働者が原則として契約開始の一日目から、賃金、休暇、出産休暇について、正規労働者と同一の待遇を受け、食堂、託児所、輸送サービスでも同一の利用権を持つことを規定しています。

 ただ例外として、各国の労使間の合意があれば、これらの権利の取得に必要な派遣労働者の雇用期間を個別に設定することができます。

 欧州で六千万人の労働者を結集する欧州労連(ETUC)モンクス書記長は同日、「合意は積極的なものであり、EUが労働条件の改善を法制化できるのだということを示している」と歓迎の談話を発表しました。

 EUにおける派遣労働者は約八百万人で、年々増加の傾向にあります。欧州労連などは派遣労働者の均等待遇を指令に盛り込むことを主張し、交渉が続けられてきましたが、英国などの反対で実現していませんでした。その英国で五月、政労使が派遣労働者の均等待遇を定める法案について合意し、欧州レベルでの法制化に道が開かれました。

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